ページの上の花園 (Description of the Christening of Lady Elisabeth of Hesse)


17世紀初頭、無名の人物によって装飾が施された書物。
元になっているのは、16世紀末~17世紀にかけて活躍した芸術家、製図工、建築家でもあったヴィルヘルム・ディリッヒ(1571-1650)の手彩色本です。

1596年、ヘッセン方伯(現在のドイツにあった神聖ローマ帝国の領邦国家領主)モーリッツ(1572 -1632)は娘エリーザベトの洗礼式に際し、4日間にわたる盛大な祝賀式典を開催しました。
ディリッヒは、その様子を2冊の本にまとめ1598年に出版。
そのうちの1部を入手した誰かが、その2冊を再編集したのがこの本です。
文字の部分とパレードやゲームの様子を描いた絵がディリッヒの本の元のページで、その余白と空白のページに描かれたカラフルな花々が無名の誰かによるもの。時期としてはディリッヒの出版から1606年までの間に制作されたものとされています。

自分だけのために、あるいは大切な誰かに贈るために。百ページ以上ものページを花で飾るというアイデアを出したのは誰なのか、1枚1枚丹念に彩っていったのはどんな人物だったのか。
装飾することを楽しんでいるような美しいページに想像が膨らみます。


衣装や装飾は歴史や神話を題材にしており、現代の感覚で見るとギョッとするようなものも




すべてのページはこちら(Library of Congress)で見ることができます。


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