川目達の「金魚のダンス」

3月3日、雛祭り。
そして、この日は“金魚の日”でもあるそう。
江戸時代、雛祭りに金魚鉢を一緒に飾る習慣があったことにちなみ、1990(平成2)年に日本鑑賞魚振興会が制定しました。

今回はその“金魚の日”に合わせて、金魚のイラストを1枚。
雑誌『コドモノクニ』1924年6月号掲載、川目達・画「金魚のダンス」です。


金魚のお嬢さんたちが、ひらひらと輪になって踊るシュールなこのイラスト。
2011年に発行された『コドモノクニ名作選 Vol.3 』にも収録されており、2012年に開催されたコドモノクニ展でも話題になった作品です。
が、これほど大きく取り上げられていながら、これを描いた川目達については意外なほど情報がありません。
大正時代、主に『コドモノクニ』や『幼年畫報』など少年少女向けの雑誌で活躍していたことはわかっていますが、それ以外の情報は見つからず。検索すると明治時代の司法官僚、川目亨一の四女が“達”という名前だったことがわかりましたが、これは流石に関係ないでしょう(そうでもないか?)。

ネット上で見つかった川目達のほかの作品は以下のふたつ。

大正11年 雑誌『フレンド』付録
「グンジンスゴロク」
大正5年 雑誌『飛行少年』12月号
「活動繪もの語:呪の列車」
※『飛行少年』の一部は国立国会図書館の送信サービスでも閲覧可能です

どちらも依頼主のオーダーに沿ったもので(特に後者については、洋画の説明のために映画のカットをそのまま再現したイラストになっています)、残念ながら「金魚のダンス」のような自由な発想や個性は見られません。
果たして「金魚のダンス」は“奇跡の1枚”に過ぎなかったのでしょうか。

今のところ上記の復刻版以外で川目達の作品を見るには、当時の掲載誌などをコツコツ探す以外に無いようですが、もっと広く多くの人が川目達とその仕事の全容に触れることができるようになれば、と思います。


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