オーギュスト・ルルーの踊り子たち


フランスの画家、イラストレーターのオーギュスト・ルルー(Jules Marie Auguste Leroux, 1871.4.14 - 1954.3.26)。
版画(イラストや絵画などの複製)の版元であった父のもとに生まれた彼は、装飾芸術を学んでイラストレーターになった後、エコール・デ・ボザール(国立高等美術学校)でレオン・ボナ(画家であり、当時は国立高等美術学校の教授。後に学長に就任)に師事しました。
フランス国家による留学、奨学金付与制度であるローマ賞を獲得した彼はイタリアにも派遣され、3年間ヴィラ・メディチに滞在して学んでいます。
レオン・ボナ(Léon Joseph Florentin Bonnat, 1833 - 1922)の作品

その後、画家としてイラストレーターとして、また自らもエコール・デ・ボザールの教授として、それぞれの分野で成功をおさめたオーギュスト・ルルーですが、現代において(特にネット上で)最も愛されている彼の仕事といえば、バレエダンサーを描いた一連の作品ではないでしょうか。
小花を散らしたロマンチックな衣装をまとった彼女たちの姿は、TumblrやPinterestなどのそこかしこで見ることができます。私が最初に見たのもその中の1枚でした。
誰の作品か知りたくて探すと、次々と姿を現した女性たち。
バレリーナというよりはバレエダンサー、バレエダンサーというよりは踊り子と呼びたいような彼女たちは、甘やかな夢のイメージとしてのバレリーナではなく、鍛えられた肉体を持つ生身の女性として描かれていました。そしてちょっぴり肉感的。
でもそこが、ネットの素敵画像収集家の趣味とは相容れないのでしょう。私が最初に見たものも含め、彼のダンサーたちは、しばしば冒頭にあげた画像のようにトリミングされ、やや紗がかかったような雰囲気に調整されています。中には、おそらく膝の関節を目立たなくさせるために、左足(向かって右の足)の辺りをより暗く加工しているらしいものも。
そういう楽しみ方もアリだと思いますし、かくいう私もトリミングされた画像に惹かれたわけですが、しかし自分の好みに合わせてトリミングしているとき、そこはかとない後ろめたさを感じてしまうのも事実。
なので、まずはやはり彼女たちの全体像を。

冒頭にあげた絵の全体像
この絵のトリミングバージョンは本当によく見かけます






と言いつつ、やっぱりトリミングしてみちゃうのだった 笑


コメント

このブログの人気の投稿

川目達の「金魚のダンス」

古屋白羊 (FURUYA Hakuyo)

レーシー・ヘルプス(Racey Helps)

アボット・フラー・グレイヴス(Abbott Fuller Graves)

アリス・ビアード(Alice Beard)

ドロシー・ヒルトン(Dorothy Hilton)の"オレンジとレモン"