ミロ・ウィンターのピーターラビット

以前、1920年代に描かれた、岡本帰一によるピーターラビット を紹介しましたが、今回はミロ・ウィンター(Milo Winter, 1888-1956)によるものを。

ミロ・ウィンターは、アメリカのイラストレーターで「不思議の国のアリス」をはじめ「アラビアンナイト」や「イソップ寓話」など様々な物語の挿絵を描いています。

「不思議の国のアリス」の挿絵 (1916年)

こちらの“ピーターラビット”の絵本は1930年代後半に出版された作品で(初版は1937年?)、文章はビアトリクス・ポターの原文をそのまま使用しています。
が、おそらくこれも無許可版。前回も書きましたが、当時はまだ著作権の制度──特に他国間における制度が今ほど確立しておらず、アメリカを中心に翻案やキャラクターのみ使用したオリジナルまで、沢山のピーターラビット本が出版されました。
面白いのは、このミロ・ウィンター版ピーターラビットが出版された時、ウィンターはすでに成功した著名なイラストレーターだったこと。このことからも当時の“無許可版”は、現代の“海賊版”とはかなりイメージの異なるものだったことが窺えます。

ミロ・ウィンター版ピーターラビットは何度も版を重ねており、表紙は何パターンかあります。


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