岡本帰一のピーターラビット

2023年は卯年🐰
なので、今年最初の投稿はウサギのお話から。
岡本帰一による、ビアトリクス・ポターのピーターラビットの翻案“イッポンマツ ピョンスケ”は、1925(大正14)年に雑誌「コドモノクニ」に掲載されました。
私は長らく“イッポンマツ ピョンスケ”がタイトルだと思っていたのですが、タイトルは「兎の家庭」だったようです。兎の家庭…。

おなじみのお母さんのお出かけ風景ですが、足にはスキーを履いていますね。ピーター…じゃなくてウサギの男の子は、黒ウサギです。

このイッポンマツ ピョンスケ、翻案と言いましたが実は無許可版。
日本で正式に版権をとった最初のピーターラビットの本は、1971年発行の福音館書店版ともいわれ、少なくとも戦前のものはほとんど無許可だと思われます。
とはいえ、これは日本だけのことではなく、著作権の制度が整っていなかった時代、ピーターラビットの無許可翻訳・翻案版はアメリカを中心に世界中で出版されていました。今とは著作権に対する考え方がまるで違っていた時代のお話です。

ちなみに日本で最初にピーターラビットが翻訳されて出版されたのは1906(明治39)年。読売新聞社の前身である日就社から発行されていた『日本農業雑誌』に「お伽小説 悪戯な小兎」というタイトルで掲載されたのが初めだそう。これはピーターラビットの翻訳出版としては、世界最古だとか。
国立国会図書館に所蔵されているようですが、個人でピーターラビットの研究をされている方の〈ラピータの部屋〉というサイトに一部が載っていましたので、どんな感じだったかは、こちらを見て頂くといいかと思います。
こちらのサイトには、この世界最古の翻訳版について、より詳しい解説も掲載されているので合わせて是非。

話を岡本帰一に戻します。
岡本帰一は翌年1926(大正15)年にも、今度は雑誌『子供の友』で「いたづらコネコと洋服をなくしたアヒル」(こねこのトムのおはなしの抄訳)を描いています。
見開き2ページで、これはイラストだけですが、文章の入ったものが右半分だけ婦人の友社のこちらのページに掲載されていて、クリック拡大で読むことも出来ます。


ピーターラビットの無許可版についてはTwitterでも度々呟いているのですが、国内外共に面白い&素敵な作品が沢山あるので、こちらでも追々紹介していきたいと思っています。卯年ですし 笑

コメント

このブログの人気の投稿

川目達の「金魚のダンス」

レーシー・ヘルプス(Racey Helps)

アボット・フラー・グレイヴス(Abbott Fuller Graves)

ベップ・ヨルデンス (Bep Jordens)

“ベルギーのミュシャ” アンリ・プリヴァ=リヴモン

ミロ・ウィンターのピーターラビット