Helfrid Selldin(ヘルフリード・セルディン)



スウェーデンのイラストレーター、ヘルフリード・セルディン(Helfrid Selldin, 1897年5月16日-1973年12月6日)。
ヨーテボリ生まれで、1917~18年にかけて地元のヴァランド芸術学院で学びました。その頃からイラストの仕事を始めた彼女。学校の在籍期間が短いことから、或いはほとんど独学であったのを仕事のために美術学校に入学したのかもしれません。
1920~1940年代を中心にポストカードや雑誌・絵本の挿絵を多く手がけ、ことにポストカードは、1920年代前半の数年間で900枚以上を描いたとも言われています。

ポストカードの場合、実際にその絵が描かれたのがいつなのか、はっきりとはわからないことも多いのですが、とりあえずここでは書き込まれたサインの形ごとにまとめています(それぞれの時期は不明)。






“Aus dem Märchenland”
1925年








“Barnteatern Sjuttonde samlingen”
1941年




〈おまけ〉
ヘルフリード・セルディンの描いたポストカードには、ほかの画家の作風によく似たものが時々あります。
代表的なところでは、同じスウェーデンの画家であるエイナル・ネルマン。上にあげたものの中にもネルマンの影響が見えるカードが幾つもありますが、もっとはっきり具体的に参考にしたと思われるものも。
例えば、こちらがエイナル・ネルマン
そして、こちらがヘルフリード・セルディン

これはポストカードを多く手掛けたイラストレーターにありがちなのですが、本人が模倣したというよりも、その時々で売れている画家に似せた絵柄を求められていたという事情もありそう。
今でこそコレクションの対象となって画家個人の名前も意識されますが、当時はよほど有名な画家でもない限り、誰が描いているのかはさほど重要ではなかったでしょうから。

中には、こんなものまで…
左がヘルフリード・セルディン(画像はebay)、右はヘンリエッテ・ウィルビーク・ル・メールのオリジナル

こちらの場合は画家本人が普通に影響を受けていそうな例。上の3枚がヘルフリード・セルディンですが、犬の顔に注目。
明らかに、これらメイベル・ルーシー・アトウェル(1879-1964)の描き方の影響が見られます

以前、投稿したメアリー・ラフェトラ・ラッセルなどもそうですが、そういう部分も見ていくと、当時の流行やそれぞれの画家の立ち位置などが垣間見えて面白いです。



※画像のうち☆印のあるものはneintje(Flickr)


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